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ぼくらのクローゼット

埋もれている価値観の中から新しい楽しみと
生き方をいっしょに見つけていくメディア

農園はさまざまな人生が交錯する場所でもある

~生きる~ 坂口典和さん

今年も残すところわずか。

11月中旬に例年通り伊勢大神楽(いせおおかぐら)の一行がこの集落にもやって来て、一軒一軒を回り玄関先で笛・太鼓付きの獅子舞を舞ってくれました。
何百年もの間の巡る季節の中でずっと旅をしながら行く先々で披露されてきた芸能を目の当たりにすると、自分が時空を超えているような錯覚に見舞われます。

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そして、ふと我にかえり、明らかに以前より冷たくなった風を頬に感じながら、ああ、もうすぐ冬になるな、と自身に言い聞かせます。

 

今秋以降、当農園での野菜の出来は久しぶりの大不作で、この冬は野菜の出荷が早くに終わりそうです。
9月の長雨で種蒔きが随分遅れたのもありますが、害虫が大発生して今も日々白菜、大根、その他多くの葉物野菜が喰われていっています。

無農薬は辛い~、というのが本音ですね。


ところで、この一か月は面白くもあり楽しい、力仕事も手伝ってくれた来客(助っ人)が二件ありました。


一人目は25年来の友人の息子さんで、前回、というかうちに初めて来たのが彼が7歳の時。
9年を経てすっかり逞しくなった彼は高校を辞めて、旅の途中。
家から沖縄まで基本自転車で往復2500キロメートルの旅です。

そんな16歳の彼、しゃべる、しゃべる。そして、よく食う。
これぞ若者という感じで、とにかく食って、しゃべって、動き回って、エネルギーの塊のよう。

話すこと全てに自分の思い、考えをぶつけてきます。
畑ではたくさんのミズ菜の苗を植えてもらいました。

彼がやって来た日に、「これまで同い年の子とかほとんど出会ってないから、ちょっと嬉しい」とうちの15歳の娘と話をしていて、
自分も娘にどんな影響を及ぼしてくれるんかなあ。。。と興味津々で二人のやりとりを横で聞いていました。


「彼と話してどう?」と娘に尋ねると、「自分は別に学校辞めたくないし」と素っ気ない返事。
感受性は人それぞれだなあ。。と再確認した次第です。
ユニークな人材に育ってほしいというのも親のエゴですね。

 

そして、二人目は、この夏に偶然高校の同窓会で出会った二学年下の彼。
「農業に興味があるので、必ず訪問しますから」と別れ、そして、本当に富山からはるばるやって来てくれました。

うちに来て、話をして初めて分かったのですが、彼はたくさんの顔を持っていて、
高校の時からずっと自転車が好き。
その高校では、アマチュア無線部と写真部に所属。
小学校の時からの鉄道好きで、今では考えられないことに、小学6年生で大阪から北海道の稚内まで単独電車旅を敢行。

今は電気工事士なので、電気関係に強い。
パソコンも得意で、現在地方の小さな会社で重宝されている。
40歳をすぎて空手を始めた。。。等々。

うちの子どもたちの自転車の調子の悪い部分を直してくれたり、軽トラの荷台の後アオリの壊れた止め金具を外してハンマーで直してもくれたり、
ずっと壊れてそのままにしていた玄関の電灯も直して、また、自分の苦手な農業の顧客管理のためにエクセルで表を作ってくれたり、
もちろん畑でも延々玉ねぎの苗の雑草取りを手伝ってくれたり。。。(一般の農業だと除草剤をかけるので雑草取りはしなくてもよい作業なのです)


もう獅子奮迅の活躍でした。

そして、もちろん、子どもたちにもいろんな話をしてくれました。


農業というと、どうしても閉ざされた場所での人知れず続けられる地味な仕事というイメージですが、こんな風に様々な人が行き交い、人生が交錯する場所にも成り得るのです。

 

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