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ぼくらのクローゼット

埋もれている価値観の中から新しい楽しみと
生き方をいっしょに見つけていくメディア

「嫁VS姑」板挟み対処法

~学ぶ~ 川崎貴子さん

【黒魔女の恋愛指南vol.6】

 

ぼくらのクローゼットを読んでくださっている皆さんは、未婚?それとも既婚?

もし、あなたが未婚なら、この先読むのをお控えになっていただきたいところ。ただでさえ、独身男性達が「結婚ってコスパ悪くね?」「する意味なくね?」とマイナスイメージを夢一杯に膨らませている昨今。更に追い打ちをかけるような事を私はしたくないからです。ま、書いちゃうんですけどね。

 

「嫁VS姑」と言ったら、それはそれは昔から、「上手く行くわけがない人間関係の鉄板」です。優しく気立ての良い嫁、出過ぎずにおっとりした母をたまたま持ち、その二人の相性がたまたま合ったというラッキーな貴兄以外、既婚の皆さんは多かれ少なかれ、板挟みにあって右往左往した経験がおありではないでしょうか?

 

もうねぇ、本当に多いんですよ。既婚女性達の「姑に対する不満」と「姑をちゃんとブロックしてくれない夫への不満」は。特に年末年始が近づいてくるこの時期。「夫の実家に行きたくない!姑に会いたくない!」と噴火寸前です。

 

そんな既婚女性達の呪詛を立て続けに聞いていた11月。たまたま付けたテレビに、体操選手の内村航平さんが団体金メダルを取ってニュース番組に出演していたんですね。

そこに内村航平さんのお母さん。あの、「金メダリストを育てた母」として有名なお母さんが他の場所から中継で移りまして、

「息子さんに、金メダルのお祝いに何をしてあげたいですか?」と質問された訳です。

すると、お母さんは、年齢不詳のおさげ髪でこう言いました。

 

「航平くんの大好きなご飯を、何でもたくさん作ってあげたいです!」

と。

 

その瞬間私は、嫁姑問題ではらわたの煮えくり返りまくっている全国の嫁たちの、

 

「きもーー!」

 

「息子いくつだと思ってるんだ!」

 

という罵声がテレビの向こうから轟いた気がして戦慄を覚えました。

 

そして、かたずを飲んで見守りました。航平の次のリアクションを。

航平、既に26歳で妻子持ちだし、お母さんだって自分のイメージに沿ってテレビ用に言っただけかもしれないし、ここは笑って、さらーっと流していいだろう、と。私は謎の演出家よろしく、CMに切り替えたい気持ちでいっぱいに。無邪気に「お母さん、ああおっしゃってくれてますよ。」とマイクを向けるキャスターに「余計な事はやめろ」と念を飛ばしまくります。

ところが、彼は私の心配(全国の嫁を敵に回す事)を余所に、テレビに向かって先ずは解りやすい苦笑。そして、

 

「僕をいくつだと思っているんですかね。料理なら、嫁の料理が食べたいです。」

 

と、迷わず「嫁姑問題を解決する男のあるべき姿」を全国ネットで見せつけました。凄いぞ!航平!

これはこれで、「航平君に比べてうちの夫は優柔不断で!」などという違う戦争が全国で勃発しそうではありますが、金メダル取る男は状況判断の反射神経が違うと感心したものです。

 

さて、確かに新しい家庭を持った男性に取って優先すべきは新しい家庭であり、妻です。私も若い頃、「そんなことは当たり前だ!」「マザコンじゃあるまいし。」とゆるぎない定説であると信じて疑いませんでした。

自分が実際に経験するまでは・・・。それも逆の立場で・・・。

 

我が家の場合は、私の実父が亡くなり、次女が生まれたのがほぼ同時期で、おばあちゃんの一人暮らし回避と0歳児の育児を助けてもらうという事で私の実母と同居することになったことが事の発端でした。

うちはその頃、夫が家事と育児を担当していたので、それぞれの家庭で主婦(主夫)という番を張っていた二人が同じ屋根の下に暮らす事になったのです。

 

2人とも穏やかな性格なのであまり心配していませんでしたが、これが意外に揉める揉める。それも、直接本人には言えないから、全て私を介して二人から交互にクレームが来るのです。

それも、洗濯物の向きとか(乾けばいいじゃん!)洗い物のやり方とか(洗えてればいいでしょうに!)、当時、家事を全くしていなかった私にとっては、失礼ながら死ぬほどどうでもいい事ばかり。そして、育児も手伝ってくれている高齢の母に対して「夫のやり方に従って!」とはとても言えませんでした。

結局私はお互いのクレームをマイルドにトランスレートして、伝書バトのように伝える日々が続いたのですが、ある日、家をかびさせない為に「窓を開け放つ派」の母と、「換気扇を回しておく派」の夫が対立した時に、そのあまりのどうでもいいわーっぷりに眩暈を覚えた私はとうとう、

 

「家なんかカビていい!」と、ちゃぶ台をひっくり返しました。(最低)

 

偉そうにエッセイを書いたり、コーチングの講師をしている私が、家では一切そのスキルを果たせなかったという事実。完全に家事と言うものを知らないダメ夫思考回路だったという事実。更に、本当は経営者だと言うのに、家庭内経営判断すらできなかったという、これは私の情けないノンフィクションです。

 

そして、全国の板挟みな夫の皆さんに、「なかなか難しいものですよね。」「マザコンとか言ってさーせん。」と、心から謝罪をしたくなる経験でございました。

 

結局、業務の洗い出しから分担し、夫も外に働きに出る事になり、私も家事参加し、現在では何とか上手く回っております。夫はなんだかんだと言っても男性なので、現在、そして将来に向けて母が手伝ってくれるメリットをロジカルに説明すると色々と腑に落ちて納得が行くようでした。

 

これが妻の場合は、そうは行きません。

結局の所、「嫁姑問題」は愛しい男の取り合いです。

そして、どちらが大切にされているかと言う己の存在意義を競う女同士の、

仁義なき戦いなのです。

 

この期に及んで「俺のおふくろと何とか上手くやってくれよ~」などと妻に対して都合の良い要求をふんわり浴びせてる亭主の皆さんは、是非とも有吉佐和子の小説「華岡青洲の妻」という嫁姑バトルを書いた傑作を読んでみてください。

妻と姑の、夫には解らない冷淡な戦いがどんどんエスカレートして、最後には身体を張ったバトルを両者命がけで繰り広げるこのお話は、実在した人物というエピソードも相まって、完全なるホラー。読み終えればきっと、「俺、しっかりするよ。」と、涙目で決意する事請け合いです。

 

長々と書いてしまいましたが、夫が優先順位を守り姑をしっかり線引きし、妻への愛情表現や感謝の念をさぼらなければ大抵のいざこざはクリアできる筈ですので、最後に、夢中で頑張るキミにエールを。

 

頑張れ!全国の夫達!負けるな!全国の夫達!

 

 

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